難治性ニキビ治療の最後の砦！イソトレチノインの長所と短所は？

6　使う前に絶対にこれだけは理解して！イソトレチノインの副作用と注意点

出典 |　PIXABAY　

冒頭にイソトレチノインは難治性ニキビ治療の「最後の砦」でもあり、同時に「劇薬」だと書きました。劇薬というのは、非常に重篤な副作用の可能性があることと、服用するうえで絶対に守らなければならない注意点があり、それに反すると大変なトラブルが起こる、ということからです。

それを以下に記載しますので、医師の指導の下飲むにしても、自己責任で飲むにしても、絶対にそれは守り、注意してください。

6-1　イソトレチノインの服用で考えられる副作用

イソトレチノインの副作用には現在分かっているだけでも、以下のものがあります。

■症状の軽いもの

・あらゆる粘膜の乾燥（唇、口の中、鼻の粘膜、眼。場合によってあ鼻血も）
・皮膚の乾燥による敏感肌
・手のひらや、足の甲の皮膚がむける
・皮膚のかゆみと赤み
・紫外線に対する抵抗力の低下（日焼けしやすくなる）
・骨、関節、筋肉の痛み
・倦怠感
・頭痛
・頭皮の脱毛または逆に体毛が濃くなる
・夜盲症（暗いと物が見えずらくなる）

■重いもの（これが現れたらすぐに皮膚科に行くこと）

・吐き気、あるいは実際に嘔吐してしまう
・長く続く重い頭痛
・目が見えにくくなる、かすむ、ぼやける
・耳が聞こえにくくなる、難聴、耳鳴りが起こる
・みぞおちの辺りの強い痛みが起こる
・ひどい下痢になる。便を見ると血が混じっている。場合によって便だと思っていたら血が出る
・肌の強い赤み
・幻覚が見える、幻聴が聞こえる
・うつ症状。持続的な悲しみ、興味の希薄化、睡眠障害、集中力の低下、自罰的な気持ち、自殺願望が起こる

などです。1番多いのは、コンタクトレンズを付けた時に違和感や、日焼けによる色素沈着やシミなどです。また夜盲症も、車の運転などを夜にすると非常に危険なのでやめましょう。さらには、皮膚が乾燥するので、治療中と治療終了後6ヶ月はワックス脱毛は禁止です。

問題は、これらの副作用は、イソトレチノインを多く飲んだから、あるいは長期に飲んだから出る、というものではないことです。飲み始めたばかりの人や、短期間しか使っていない人でもこの副作用はでます。

いずれにしても以上のような副作用が出たらすぐに医師にかかりましょう。

6-2　イソトレチノインの使用中には絶対に気を付けること

FDAが指摘しているイソトレチノインの危険性は、何といっても、服用中に妊娠すると奇形の子供が生まれたり、死産、早産する危険性があるということです。

ですので、妊娠している場合、近いうちの妊娠を望んでいる場合、授乳中の場合は絶対に飲まないでください。また、イソトレチノインの主成分であるビタミンAは、体内に長期間蓄積される性質があります。ですので、飲み終えてもその影響がでるので、服用後から最低2年間は男女とも妊娠につながる性行為と、献血をしてはならないということになっています。

この指示の中で、最も気を付けるべきは、1つは妊娠しない側の男性がイソトレチノインを飲んでいただけでも、それで性行為をして妊娠させると奇形児が生まれる危険性があるということと、2つめは要は飲み終えてからも2年間は絶対に避妊が必要（2年間は赤ちゃんをつくれない）ということです。

6-3　再発の可能性は30％

イソトレチノインは非常に難治性ニキビの治療に効果がありますが、しかし作用としては薬が効いているときには皮脂を抑え込んでも、その効果が薄れるとまた皮脂腺が再生され、皮脂の過剰分泌が始まる可能性があります。

つまり、再発です。一般には、再発率は30％と言われているので、イソトレチノインで治療を受けた人の3人に1人は再発するということです。ただし、何クールも治療を行うことで、再発率は徐々に下がっていきます。