難治性ニキビ治療の最後の砦！イソトレチノインの長所と短所は？

1　イソトレチノインとはどういう薬？どうしても治らないニキビに使う「最後の砦」

出典 |　PIXABAY　

1-1　自分にも当てはまる？難治性のニキビの特徴

冒頭に「難治性」という言葉を使いましたが、これは「どうしても治らない」という意味です。ニキビの場合、「難治性」になると、小さなニキビがいくつかできてそれがずっと治らない、ということもあるでしょうが、多くは「大きな炎症を起こしているニキビが大量にできてしまい、それがいつまでたっても治らない」というケースです。

そういうニキビは、化膿や炎症の症状が激しいだけでなく、ちょっとよくなってきたと思ったらまた悪化したり、完全に治ったと思って喜んでいたらまた再発してしてしまったり、何度も同じ場所できてしまいその都度ニキビの度合いがひどくなったりする、という特徴があります。

そういうニキビは、たとえば皮膚科に長い間通ってなんとかその治療でよくなっても、赤や黄色の炎症が色素沈着として残って茶色いシミになったり、ごつごつの深いクレーターになったり、ということも多いです。そういう自分の顔を鏡の中で見ると本当に悲しくなるでしょう。

そういう悲しみに対する「最後の砦」といえるのが、イソトレチノインなのです。

1-2　イソトレチノインは海外ではニキビ治療の特効薬。でも日本では未認可

イソトレチノインは1960年代にスイスにあるロシュ社という製薬メーカーによってビタミンAを原料から合成され、もともとは急性前骨髄性白血病の治療薬として開発されました。その後、その効果が難治性のニキビにもあるということが分かって、その方面で使われるようになったというのが経緯です。それ以来使われているわけですから、歴史的には古いものです。

後でそれぞれは詳しく説明しますが、そのような経緯で開発されたイソトレチノインは、ビタミンAを身体に取り込みやすい状態に加工したビタミンA誘導体をベースに合成したレチノイドという物質が主成分のニキビ治療薬です。作用としては、皮脂の分泌を抑える作用、アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症作用などに大きな効果を発揮するため、非常に悪化している炎症の強いニキビ治療に用いられます。

特に皮膚科の先進国であるアメリカやカナダなどでは、ニキビ治療に必須の薬として一般的に処方されていますが、一方で非常に強い副作用や、妊娠中に使用したときの大きな危険性から、日本ではまだ認可されていません。したがって、健康保険の適用もなく、普通の皮膚科では処方もされず、当然一般に販売もされていません。

しかし、このイソトレチノインの効果を聞いて、一部の皮膚科では個人輸入をしたイソトレチノインを処方しているケースもあります。